はやる気持ちをおさえながら、空をわたりきる。



そして、そこにあったのは

空にうかぶ、豊かな草花に囲まれたちいさな家。




リコッタは息をととのえ、ゆっくり扉をあけた。















かいだことのない不思議なかおりが

ふわりと顔をなでた。



なかを見わたすと、部屋はひとつしかなく、人の気配はない。

様々な植物が部屋中に茂り、

花がきもちよさそうにひらいている。

そこにはチョウやハチが飛びかい、小鳥たちがあそんでいる。



奥には小さなキッチン、

中央に置かれたテーブルの上には

まるでこれから食事でもはじまるかのように

食器がきれいに並べられている・・・。



部屋をぐるりとまわったあと、イスに腰かけてみる。

ここはなんて心地のいい空間だろう。







リコッタは、ふと、ある言葉が浮かんできた。

「満月のレシピ」



以前に読んだ本にあった、

満月を祝うためのレシピだ。



たしか、満月にまつわる食材をつかうはずだった・・・

と、

記憶をめぐらしていると突如

驚くべき変化が目の前に起きた。



ハーブが次々に生えだし、白ぶどうやベリーが実り、

窓辺に腰を落ちつけていたコバトが卵を産んだ。




この家は、たった今わたしが思い描いたものを生み出したんだ・・・!!




リコッタは驚きと興奮でイスから飛び上がった。


「トト、ムーンケーキをつくろう!」







リコッタはトトといっしょにハーブや実を摘み、

月のパーティーの準備をはじめた。






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